第42章 甘い文字
二人で洗濯物を干した後、
素早く支度を済ませると、
府内の主要駅近くの映画館に訪れる。
駅前ということもあり、
館内は平日にも関わらず賑わいを見せていた。
「……いつものことだけど、
エルヴィンと一緒に歩くと、
周囲の視線が痛いね。」
そんなことを言っている傍から、
前から歩いてくる女性に顔を盗み見される。
擦れ違い際に、横目でチラッと
顔を確認されるのは、これで何回目だろう……
こんなイケメンと手を繋いで歩くくらいだから、
相当美人なはずだ!
という期待を簡単に裏切ってしまって、
何だか申し訳ない気分にすらなってくる。