第37章 恩返しと覚悟の時間
そんな二人が、この夏、元の世界へ戻る。
ここに越して来てから
二人にかなり依存していた分、
そのことを考えるのが辛い。
二人と過ごすことが
何をするより心地よくて、幸せに感じた。
それなのに、この生活も
あと一か月足らずで終わりだと思うと
気持ちが重く沈んだ。
範司の言う通り、二人がいなくなった後の事を
考えないといけないことは分かってる。
……それでも、二人がこの世界にいる限り、
側に居たいと思ってしまう。
その気持ちを抑えることが出来なかった。
「あの二人が凛に救われたことも、
凛があの二人に救われたことも、
三人が一緒に居るのを見てるだけで
すごく伝わる。
でも、それぞれがこの先のことも
考えなきゃね。」
範司は優しい声色でそう言うと、
凛の頭を軽く撫でた。