第37章 恩返しと覚悟の時間
「凛。
この夏、二人が元の世界へ戻れる可能性が
大きいんでしょ?」
「……おじいちゃんから聞いたの?」
「うん。この間、電話してきて。
相変わらず面白い爺さんだね、好古は。」
「範司も、相変わらず面白いけどね。」
人のことは言えないだろう、
と、思わず反論に近いツッコミを入れた。
昔から親しくしているということもあってか、
範司は幼いころから
おじいちゃんのことを名前で呼んでいる。
身内からも異端の目で
見られていた範司にとって
何の偏見も持たないおじいちゃんは、
居心地の良い存在だったのだろう。
それはこの年になっても
たまに連絡を取り合っている様子から
窺い知ることができた。