第35章 恋人候補の説教
「初対面なのに、
こんなに話し込んで悪かったな……」
着替えを終え、ロッカーを閉めた直後、
力ない御食の声を聞き、動きを止める。
「いや。いいんだ。
君の話が聞けて良かった。」
ここで御食の話を聞いていなかったら、
元の世界に戻った時、ミケに相当辛く
当たっただろうな……
なんてことを考えてしまい、
少しバツが悪くなる。
「……何なんだろうな。
お前とは初対面な気がしない。」
「奇遇だな、俺もだよ。」
御食の発言にすぐ返事をすると、
思わず顔が綻んだ。
輪廻転生、というものが
本当に存在するなら、御食はミケの
生まれ変わりなのかも知れない。
そんな話を信じるタチでもないが、
そう思わずにはいられなかった。