第35章 恋人候補の説教
話しを聞く限り、
御食が凛を相当好きだったことは、
容易に察することが出来る。
この世界で凛が生きることを
止めたくなるきっかけになったのは
きっと御食のこともあったのだろう。
それなら尚更、御食には自分の過ちを
深く反省してもらう必要がある。
それに、凛が死を意識したくなる程
御食のことを好きだったのであれば、
御食は凛を支えられる存在で
あるのかも知れない。
……だが一度過ちを犯した男に、
凛を任せてもいいものだろうか。
いくら酒を止めたからといって、“御食”の根本が
女に一途な“ミケ”と同じとは限らない。
もう少し御食の出方や様子を見るべきだな……
浮気以前に、恋人すらできたことのない自分が
こんなことを考えること自体
おかしくもあったが、
凛がこの世界で幸せに生きる方法を
考える上で、慎重になりすぎるのは
悪いことではないだろう。