第5章 知りたい世界
私の作った料理を、しきりに美味いと
言いながら食べてくれる
エルヴィンの顔を見ながら、考えを巡らす。
エルヴィンの住む世界と、
私の住んでいるこの世界は
全く別物のように思える。
長い歴史の中で食料難だった時代は
多くあっただろうが、
やはり巨人の存在が引っ掛かった。
もしも巨人が存在し、
人間が城壁の内側で生活していた
歴史があったとしたら。
それは記録に残らなかったとしても、
形に残るのではないだろうか。
死んだ巨人の肉体は気化するように
朽ちて消滅する、とは言っていたが、
城壁の跡や生活の痕跡が
残っていてもおかしくない。
エルヴィンは日本語を話しているし、
この国と関係がないとも思いにくかった。
……意図して歴史が隠されている、
ということもあり得るのか……?