第5章 知りたい世界
「……凛?大丈夫か?」
不意に声を掛けられ、少しだけ顔を上げる。
「ん。大丈夫。
ちょっと考え事してただけ。」
「……すまないな。
君も忙しいだろうに、
こんなことに付き合わせてしまって……」
エルヴィンの浮かない表情を見て、
胸がチクリ、と痛んだ。
「いや、違うの。
どうせ私も暇だから。大丈夫。」
どうにか安心させようと笑いかけると、
エルヴィンの頬が少し緩む。
「ありがとう。
……だが、君にも仕事があるだろう?」
「……えーっと、今は、してない……」
「……というのは?」
「……色々あって……仕事を辞めて、
ここに引っ越してきたの。」