第32章 続く不本意
まさかまた、海へ来そうにない
知り合いに会うとは……
ついてないにも程がある。
5年間、あの主任には散々いびられた。
こんな場所で男性と一緒に
遊んでいたことを知られたら、
きっとまた厭味の一つや二つ、
いや、三つや四つ。
世間話をするように
サラッと投げつけられるだろう。
せっかく当時のことが
少し記憶から薄れてきた今、
ここで会うのは不本意でしかない。
「……リヴァイ、ごめん。
元職場で苦手だった人がいて……
その人がここから離れるまで
シャワー浴びるの、
ちょっと我慢してもらっていい?」
おそらく誰よりも早く
砂を落としたいであろうリヴァイに
恐る恐る視線を向けた。