第31章 懐かしい人
「あいつはヤケにお前と
話したがってたようだが。」
「……その時は仕事も辞めてたし、
逃げる様に田舎に引っ越してきたから……」
リヴァイの発言に返答しつつ、少し顔を上げる。
「それなら、ちゃんとした別れ話は
してないということか?」
「うん……
特に言い訳を聞きたくもなかったし、
それを聞いたところで
付き合い続けるのは無理だと思って。」
エルヴィンの問いに答えると、
エルヴィンは刈り上げられた部分の
金髪を摩りながら、
何か考え込むように沈黙した。
「お前がそれでいいなら、
別に何も文句はねぇよ。」
乱暴な口調の中にも、リヴァイなりの
優しさが込められているのが分かる。
その優しさが嬉しい反面、
申し訳なくもあった。