第30章 求めているのは一つの作用
「まさかこいつと女を取り合う
羽目になるとは思わなかったが、
そんなことはもうどうでもいい。」
「どうでもいい」と思っている顔には
見えない程、眉間に皺が寄っている
リヴァイを盗み見る。
「お前が俺たちに気を遣うんじゃねぇよ。
お前に気を遣わせる為にこんなこと
言ったんじゃねぇんだからな?」
「……ごめん、もう、
疑問符つけて喋るのやめて……」
ようやく絞り出した言葉に、
エルヴィンが吹き出した。
「……喋っても、頷いても、ダメみたい……」
何年分かの涙が、どんどん砂浜に斑点を作り、
自分の足元だけ砂の色が変わっていく。