第30章 求めているのは一つの作用
「エルヴィンとリヴァイのお蔭で、
この世界がちょっと明るく見えるようになった。
楽しいことが増えて、俯いて歩くことが減った。
……だから正直なところ、
二人が元の世界へ戻ることを
今はまだ考えたくない。」
エルヴィンに握られたままの手が、
じわじわと熱を帯びる。
「でも最後は、二人を笑顔で
元の世界へ送り出したいと思ってる。
二人がいなくなったこの世界でも、
ちゃんと頑張ろうと思ってるから。」
とにかく、二人のお荷物にはなりたくなかった。
きっとこの数日間で、
絶えず憂慮させてきたんだと思うけど、
もうこれ以上、
二人に甘えてばかりはいられない。
二人に心配を掛けたくない。