第30章 求めているのは一つの作用
「……だから、わざわざ恋人役なんて
買って出てくれなくても大丈夫。
二人はそんな心配」
「心配だけでここまですると思ってんのか?」
ため息交じりのリヴァイの声が、
騒がしい砂浜で小さく響いた。
「……まぁ、俺も自分で
よく分かってねぇけどな。
だが、お前言ってただろ?
お互いが生きるために
必要だと思えるものが欲しい、と。」
リヴァイの優しい声を聞いていると、
こめかみ辺りが熱を帯びてくる。
声を出すと色んな感情が溢れ出そうで、
そっと頷いた。
「俺も、そんな相手が欲しくなったんだよ。
その相手は、お前がいいと思った。
ただそれだけだ。」