第30章 求めているのは一つの作用
「私が二人のいた世界に行ける方法って」
「リヴァイ。
お前はまだそんなことを言ってるのか?」
リヴァイに問いかける前に、
エルヴィンの強い口調に遮られた。
「俺たちのいた世界で、
凛が幸せになれると思うのか?」
「それならお前はどうするつもりなんだ?
ここで凛を恋人にするとしたら、
お前が元の世界へ戻った後の凛は
どうするんだ?
この世界にいるまで限定の恋人をするのか?」
リヴァイの捲し立てるような質問が重なるが、
エルヴィンの表情は全く変化せず、
真摯な顔つきでリヴァイを見入る。
「壁の内側で暮らす世界へ
凛を連れて行く気なんて、俺にはない。
あの場所で俺が凛を幸せにすることは
出来ないだろうからな。」
エルヴィンの明瞭な語感が、鼓膜を震わせた。
この世界にいる限り、
その言葉の本当の意味を
理解できないことだけは認識できた。