第30章 求めているのは一つの作用
「それなら、
恋人になってくれるのか?」
「…………ん?」
呆気にとられて、気の抜けた声で聞き返す。
今なんて言った?
恋人に、なってくれるのか……?
「君も俺のことが好きなんだろう?」
「……うん。」
「それなら、俺の恋人になってくれ。」
考えを巡らそうにも、
完全に脳内が混乱して思考が停止している。
それと同時に、全身が徐々に熱を帯びてきた。
「凛。聞いているのか?」
目の前でひらひらと手をかざされて、
その手の向こう側に優しい表情の
エルヴィンが見えた時、
この状況をやっと把握した。