第30章 求めているのは一つの作用
「……ねぇ。エルヴィンは?」
よく考えてみたら、
しばらくエルヴィンを見ていなかった。
まさか溺れているなんてことは……
一気に血の気が引き、
咄嗟に浮き輪から手を離したと同時に
リヴァイに腕を掴まれ、動きを制止させられた。
「エルヴィンは、
足がつったと言い張る女に助けを求められて、
連れて行かれたが。」
「……なに、そのあやふやな言い方は。」
「俺には足がつっているようには
見えなかったから、
こういう言い方になっただけだ。」
……なるほど。
そんな逆ナンの仕方が存在したとは。
完全に盲点だった。