第27章 もうひとつのきっかけ
「俺はもう少し、
日本の高度な技術に触れてみたい。」
「まだ海に浸かってねぇしな。」
「それに、“はなび”も見ていないし、
俺も夜景を見てみたい。」
二人が口々にやりたいことを話し出し、
口を挿む間もなく、二人の会話に耳を傾ける。
「俺はお前がチョコバナナとやらを
食べてる姿を見てみたい。」
「なっ……!
そんなの見なくていい!!」
リヴァイのニヤついた一言に、つい声を荒げる。
いつの間にそんな話を……
相変わらず、この二人は
報告を怠らないということか……
そんな報告、怠ってくれていいのに……
「とにかく、まだやり残したことが
たくさんあるんだよ。
凛。もう少し、俺たちの我が侭に
付き合ってくれないか?」
エルヴィンの申し出は、願っても無い提案だ。
二人が元の世界へ戻る前に、
もっと二人との思い出を作りたい。
「もちろん付き合うよ。」
心に明るさを感じながら、
ミラー越しで二人に笑いかけた。