第27章 もうひとつのきっかけ
「……分かりました。」
エルヴィンはそれだけ言い、
リヴァイは軽く頷く。
「もしうまくいかんかったら、
またワシの所にきなさい。
他に何か手立てがないか、
一緒に考えてやろう。」
「……おじいちゃん、ありがとう。」
優しい表情を見せるおじいちゃんを見ていると、
安心感を覚え、子どもの頃を思い出す。
両親にいくら叱られても、
おじいちゃんだけはいつも味方してくれた。
そんな都合のいい思い出だが、
それこそ、自分にとっては
愛された記憶でもある。
両親に愛されていた。とも、
愛されていなかった。とも
言い切れない自分にとって、
その記憶はこの年になった今でも、
大切な存在だった。