第27章 もうひとつのきっかけ
「そうだ。試す機会はこれから頻繁に来る。
うまくいけば、この夏の間に
二人は元の世界へ戻れるじゃろう。」
おじいちゃんの言葉が、頭の中でこだまする。
“この夏の間に、
二人は元の世界へ戻れる”
二人が元の世界へ戻れるのは嬉しいことだし、
安心すべきことなはずなのに、
どうしても手放しで喜べない自分がいた。
「二人とも、そういうことだ。
……分かっておるな?」
おじいちゃんがエルヴィンと
リヴァイに向けた視線は真剣そのもので
何かを訴えかけるような目付きでもあった。