第4章 正反対の相手
「心配、ですか……?」
「……俺の居た世界が心配か、ということか?」
「……はい。」
「そうだな……
心配、ではないかな。
俺には強くて信頼できる仲間がたくさんいる。」
上の立場に立つ人間なのに、
部下や後輩、配下の者とは言わず、
エルヴィンが“仲間”と言う言葉を
選んだことに、少し気持ちが高揚した。
この人は、私の苦手とする人間では
ないのかも知れない。
「……だが、俺と同じタイミングで
巨人に食われた男がいるんだ。
その男が今無事か」
「もしかして、
それってこの人のことですか?」
エルヴィンの言葉を遮り、
エルヴィンの真後ろの布団で眠る小柄な男を
指さした。