第4章 正反対の相手
「あなたは、動揺していないんですか……?」
「エルヴィン、と呼んでくれ。」
問いかけを軽く流されて、目を見つめられ、
碧い瞳に吸い込まれるように見つめ返す。
「……エルヴィン、は、この世界に来て、
びっくりしてないの……?」
名前で呼んだことで、自然と敬語が外れる。
見た感じ、自分よりはかなり年上だろう。
図々しい口を聞いてしまったかも
知れないと思い、
エルヴィンの顔色を窺う。
「驚いているよ。
こんなことが現実に起きるんだな。」
エルヴィンは特に気にする様子もなく、
小さく笑った。
「……だが、これが“あの世”じゃないなら、
まだ俺は生きている、ということだろ?
その事実がある限り、
まだ絶望する気にはならないよ。」