第3章 逸脱した世界
849年
イタリアのナポリ・
アマルフィ・ガエタの艦隊が
イスラム艦隊に勝利。
……これは違うだろうな……
当たり前だが、その前後にも
“巨人”なんて文字はない。
「さっきから、その箱を
しきりに確認しているようだが、
それは離れた者と
会話をするものではないのか?」
突然横から声が聞こえ、視線を向ける。
かなりの至近距離に綺麗な顔立ちがあり、
一瞬で顔が熱くなったと同時に、
反射的に身体が小さくビクついた。
「……すまない、距離が少し近かったな。」
男は私と少し距離を取る。
私の反応を見て、
すぐにそんな気遣いしてくれるということは、
彼はなかなか紳士的な人なのかもしれない。