第3章 逸脱した世界
「……いや、まさか、なんですけど……
タイムスリップしてきた、ってことですか……?」
そんな漫画のような話がある訳がない。
頭の中ではそう思いつつも、
問いかけずにはいられなかった。
「……タイムスリップ、というのは……?」
タイムスリップを説明するのか……
どう説明したら伝わるだろう。
咄嗟に男の手から
携帯電話を取り上げると、
検索サイトで“タイムスリップ”
のワード検索をする。
「タイムスリップとは……
通常の時間の流れから逸脱し、
過去や未来の世界に移動すること。」
表示された文章を
口に出して言ってみると、
ますます現実味がない。
タイムスリップなんてことが、
現実世界で起きるのか……?