第17章 心を乱す存在
エルヴィンは小さく息を吸い込むと、
「周りの目など、どうでもいいじゃないか。
別に悪いことをしているわけじゃない。
俺は君と手を繋いでいたいんだ。」
声を張ってそう言い切り、
一瞬周囲の視線がエルヴィンに集まった後、
すぐに全く視線を感じなくなった。
「どうだ?気にならなくなったか?」
楽しそうに問いかけるエルヴィンを
唖然と見つめていたが、
次第に笑いが込み上げる。
「……凛は笑顔がとても可愛いな。」
突然そんな言葉を投げかけられ、
一気に赤面した。
「君には、ずっと笑っていて欲しい。」
恥ずかし気もなく、
こんなことを言うことが出来るのは、
エルヴィンが多くの女性を
口説いてきた証拠だろう。
……でも。
それでもいいと思えた。
使い古した言葉でもいい。
エルヴィンが発する一言一句全てが、
私の心を満たしてくれていた。