第3章 逸脱した世界
「……ここは、どこだ……?」
……日本語、喋れるのか。
なんて呑気な事を一瞬考えてしまうが、
質問の意図がよく分からなかった。
空き巣に入ったのは、そっちじゃないのか?
質問したいのは私の方だ。
「……あの、どなたか存じ上げませんが、
ここ、私の家なんです。」
取り敢えずそう答えてみると、
碧い瞳を持った男は、私の顔をじっと見入った。
「君の家……?
ここは壁外ではないのか?」
……壁外?ん?
塀の中ってことが聞きたいのか?
「えっと、確かにこの家は
塀に囲まれてますけど、ここは私の家なんです。」
質問の答えはこれでいいのか
自信はないが、そう言ってみると
男はあからさまに不思議そうな顔をする。
聞きたいことはこれではないのか。