第14章 世界の大半を覆う水
再び車を30分ほど走らせ、
小さな砂浜に辿り着く。
7月下旬の海水浴シーズンではあるが、
殆ど日の沈んだ海は穏やかで、
砂浜には数人のカップルしか見当たらなかった。
三人で砂浜に降り立ち、海の近くに腰を下ろす。
「……すごいな。
本当に水で覆われている。」
「……ああ。悪くない。」
エルヴィンとリヴァイの瞳に、
この海はどう映っているのだろう。
二人の深く澄んだ瞳は、
一心に水平線を見つめていた。
寄せてはまた打ち返す波の、
緩やかな鈍い響きを聞きながら
澱みのない、穏やかな時間が流れる。