第14章 世界の大半を覆う水
「二人とも、他に行きたいところはある?」
そう問いかけると、少しの沈黙が流れる。
「多分、俺とエルヴィンが行きたいところは、
一致してるだろうな。」
「え?どこ?」
「……凛。
この世界に、海、はあるのか……?」
エルヴィンは恐る恐る、
というのにふさわしいような言い方で
私に問いかけてきて、
初めて聞く口調に少し戸惑う。
リヴァイに視線を向けると、
真剣な表情で私を見つめていた。
「……海、あるよ。」
それだけ答えると、
エルヴィンは大きく息を吐く。
「……そうか。海は、あるのか。」
安堵したような表情のエルヴィンの横顔は
沈みかけた太陽に照らされ、
今まで出会ったどんな綺麗な人よりも
美しく見えた。