第13章 他人の空似
「そっか……
二人の歴史がこの世界になくても
元の世界に戻れるかどうかは別問題、
ってことだね。」
範司の言い分は納得できた。
この世界に二人のいた歴史がないからといって、
二人の存在した世界がなかった訳ではない。
もしかしたら、
地球とは別の惑星の話かも知れないし、
別次元の世界があるのかも知れない。
それこそ突拍子もない考えだが、
そう考えれば話は早い。
二人がタイムスリップして
ここにいるのは、紛れもない事実だ。
それなら別に、
二人の世界の実態を探る必要はない。
二人が元の世界に戻る方法だけを
考えればいいんだ。
「ハンジの言う事は一理あるな。
俺たちのいた歴史がこの世にないとしても、
帰れる手段がないと決まった訳ではない。」
「うん。そう。
だから、歴史のことは取り敢えず置いといて、
元の世界に戻る手立てを考えようよ。」
範司の明るい声に、大きく頷いた。