第13章 他人の空似
二人に希望を持ってもらおうと思って、
範司の元へ連れてきたはずだったのに
ますます絶望させてしまった気がして、
気分が落ち込む。
二人の世界はどこにあるのか。
どうしたら二人は
元に戻れるのだろうか……
「でもさ、この世に二人の歴史がなくっても
別に問題ないんじゃないの?」
範司の発言で、目を伏せて
考え込んでいたエルヴィンが顔を上げた。
「だって今二人は、ここにいるんだから。
それは私たちが証明できる。
二人がここにいるってことは、
二人の世界はあったってことになるよね?」