第10章 奔放な我慢
「私、寝るよ。おやすみ。」
そう言ったと同時に、
手を引かれて後ろを振り返る。
「……怒らせるつもりはなかったんだ……
すまない。」
その悲しそうな表情はずるい。
こっちは恥ずかしさと極まりの悪さで
パニックなのに。
そんな顔されて、手を振り払えるわけがない。
「いいよ。怒ってない。」
「……本当に?」
不安そうな碧い瞳が、
一心に私の瞳を見つめている。
あんなことが冗談でできるくらいなんだから、
リヴァイの言っていたことは
大袈裟ではなかったのだろう。
もっと早く、そのことに気付けば良かった。