第10章 奔放な我慢
「……っ、ちょ、エルヴィン?
ほんと、取り敢えずその手、やめようか?」
「本当にやめて欲しいと思ってるのか?」
被せる様に言われて、思わず言葉を止める。
待って。
エルヴィンはこんな感じの人だったっけ?
エルヴィンに対して、
最初に抱いたイメージを呼び起こす。
とにかく紳士的で、親切で、機転が利
「凛。もう少し先に進んでもいいか?」
心の声を遮る様に耳元で囁かれ、
身体が硬直した。
「も、もう少し、先って……?」
「……言葉の通りだよ。」
穏やかな声が優しく鼓膜を揺らした後、
碧い瞳が徐々に近付く。
吐息の温度が分かるくらい
顔と顔との距離が狭まった時、
反射的に目を瞑った。