第12章 迷子の迷子の…!
そして昼になればあたりはいつも通りの町となっており、朝のあの騒がしさは何処へやら。人々は商いを熱心にこなしていた。
椿が念のため、とに笠を被せ椿は男装をした。もそれに協力しようと平成の化粧道具を使ってできるだけ自分とは違うようにメイクを施す。椿は横でにこにことしながら見ていたがそれはガン無視である。
「さて、いこっか椿ちゃん」
「さん、椿、では怪しまれてしまいますので晴と呼んで下さい」
暫しの御無礼失礼いたしますと言って頭を下げてきた。何故かと問えば呼び捨てにするからだそうだ。確かにこの時代では女性が下にいる時代だろう。もタメ語なのはおかしいとおもい敬語に治すようにした。
「晴さん、行きましょう」
「あぁ」
照れ臭そうにしているが、椿は立派な好青年、というか美少年になりきっている。はちゃんと横に並べるくらい綺麗だろうかと心配しながら宿を会釈して出ていく。宿の人には顔をあまり見られないようにしたので違和感はなかっただろう。
「そうだ、次は何処へ参りましょうか?」
「越後はどうだろうか、少々寒いところだが心配ないだろう」
椿とは当たり障りのない会話をしながら町を出ようとする。
すると出入り口には伊達軍の兵と思われるものが一人ひとり顔をチェックしていたのだ。きっと誰かを探しているのだろうと椿を見ると、椿も不安そうな顔をしていた。
「きっと私達を探しているんですよ」
と耳打ちをしてくれたが、何故探されなければならないのかと首を傾げた。
ゴロゴロと引きずるキャリーバッグはあまりにも異質で、どうにかこうにか横に持ち、上から風呂敷をかけた。
「あくまでも自然に、絶対にばれてはなりません」
「そんな危険なの…?」
「…少なくとも私は嫌です」
どうなるか予想が付いているのか椿は耳打ちをしながらも明らかに嫌そうな顔をしていた。