第12章 迷子の迷子の…!
翌朝、町がざわついているのに気が付いた。
その町の異変によりも早く椿は気づいていたそうで、起きる前に町に何が起こったかを探索してきていたようだ。が起きた時には椿は絶望したような顔で窓から外を眺めていたところだった。
「なんか騒がしいね、お祭りかな?」
「いえ、こんな朝早くから祭りをやるとは思えませんでした。ので既に調べてあります」
「さっすが椿ちゃん!なんか事件でもあったの?」
そう聞けばさっきよりも表情は険しくなり、まるでが考えることを放棄したような顔になった。相当深刻な事なのだろうとは緊張した面持ちで椿にもう一度聞いた。
「何があったの?」
「……驚かないで聞いてくださいね」
こちらに意識を向けたかと思うと外から馬の嘶きが聞こえた。
突然の事では声を上げそうになりながらも驚いて耳をふさいだだけだった。椿は大きなため息をついてに言った。
「奥州の独眼竜です、どうやら此方へ下りてきたそうな…」
小さく舌打ちしていたのは気にしないで、はそうなの?!と喜びながらも不信感を覚えていた。
国を治めている政宗が直々に城下に来るなど、そんなに大変なことが寝ている間にあったのかと不安になった。咄嗟に荷物を確認したが奪われている様子もなく、何一つ変わることなく動く携帯などを見て何故か安心した。
「盗賊でも出たの?」
「…さんっ騒ぎが少しでも収まったら奥州を出ましょう!」
「え?ま、まだずんだ餅食べてないよ!」
「そんなもの私がいつでも奥州に飛んで買ってきますから、ね?!」
必死な椿を見ると、あぁ、それはよからぬことが起きるんだなとも渋々了承した。一度でもいいから政宗を生で見たかったなと残念でならない気持ちを抑えながら。