第11章 自立しないと。
そして6日後ようやく奥州にたどり着き、賑やかなその町で宿を探していた。
「明るいうちから宿を探しておけば大丈夫でしょう」
「そうだね」
奥州は甲斐と違い、どうやら南蛮のお店が立ち並んでいるらしい。外国人はみかけなかったが、なんとなく平成でも見たことがあるような品物が目に入った。
それに興味を示しているとわかったのか椿は
「宿を見つけたら町見物でもしましょうか!」
と声をかけてくれた。
やっと宿を見つけ、必要最低限の荷物だけを持ち外に出ようとするを椿は止めた。どうしたのか振り向けば椿は着物を1着手にもってにこにこしている。
「その着物は駄目です。まるでむさ苦しい男のよう!」
「えっでも…あ!ほら、悪い人に絡まれないんじゃない?」
は基本洋服なども機能性重視で、平成でもそんなにオシャレやら化粧やらに気を配ったりはしなかったのだ。だからここにきてしっかりと着物を着なければならないと聞いて思わず顔をしかめたのだ。
「それが心配なのであれば私が」
「いや大丈夫!うん!着物にします!はい!」
色々とややこしいしめんどくさそうなのではしぶしぶ椿の差し出す着物を着ることになった。
今では着物をちゃんと着れるようになった。最初のうちは全くきれず、勉強してくればよかったと思うほど壊滅的だったが、椿やほかの女中、それと小山田に見てもらったおかげで今では一人でも形になる程度には着ることができるようになった。
これも全部、武田のおかげだとは思った。