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オンナナレさせてみせますから

第11章 自立しないと。



椿とは荷物を抱えたまま走り、先程寝ていた木々が茂る見渡すことができない狭い空間から、辺りがよく見える少し開けた場所に腰を下ろした。

「で、椿ちゃん」

「いつかはお話ししようと思ってたので!」

そういって突然着物を脱ぎ始めた。は驚いて椿をとめようと手を伸ばしたが上半身だけ着物を脱ぎ終わると何をしたかったのかがわかった。
その姿はとてもそのへんの女中とは思えない傷跡が沢山あった。主に肩から下に集中しているらしく、背中を見せてくれた時は唖然とした。いったいどこでつけられてしまったのかと驚くほど大きな古傷があったのだ。

「こ、これ…」

痛くない?と聞けば椿は大丈夫ですよ、とにっこり笑って答えてくれた。
だがそれは表面上だけの悲しい笑顔だと感じ取ったは何があったのかを聞いた。

「実は、戦忍だったんです」

「戦に出てた…ってこと?」

「はい。」

聞けば彼女は幼い頃教育熱心だった両親に不満を持ち、家を飛び出して忍びの里に逃げ込んだのだという。同郷には佐助やかすががいたらしく、そこで共に成長し、武田に丹生郡したのだという。佐助やかすがには及ばないが戦闘能力に長けており里の中では結構有名だったという。その椿が武田に迎え入れられたと聞けばたちまちその情報は流れに流れ、ついには椿の両親の耳にも届いたのだとか。

「信玄様にはご迷惑をおかけしました。あの時私を女中へと移してくださらなければどうなっていたことか。」

館まで足を運んできた椿の両親を信玄はなんとか説得するも、女中にさせるというのを条件に立ち去ったという。

「…あの時信玄様が私を帰していたならさんにも出会えませんでした。感謝するばかりです」

着物を着ながらそう呟いた。

「私は椿ちゃんを連れてきちゃったんだね、…ごめんなさい」

「私の意志で離れたのです、さんのせいなどでは決してありませんよ!」

その時の椿の顔は、今までに見てきた人の中で一番純粋な笑顔だった。




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