第11章 自立しないと。
がばっと起きようとしたがその時椿とちょうど目が合って首を横に振られた。起きるな、ということだろうとは察し、そのまま寝袋から顔を少し出した状態で辺りをうかがうことにした。
およそ男の数は6人程だろうか、こんな大人数で、とは最初に出会ったあの集団を思い出していらだつ気持ちを抑えるのがやっとだった。ここで出て行ってしまったら打開策を考えているであろう椿に迷惑をかけてしまうと思ったからその気持ちは抑えることができた。
「野宿たぁいい度胸してる女だよなぁ」
「…まぁ私達はそれほど軟ではありませんしね」
「にしてもこっちのねぇちゃん、よく眠ってるよなぁ」
の方に手が触れそうになった瞬間、椿は目にも見えない速度で何かを飛ばした。途端にの駑馬にいた男は小さく悲鳴を上げてあとずさった。
「ちょっ、な、何してんだ!」
「大したことじゃありませんよ?針です、針」
そういって仲間がその驚いて腰を抜かしてしまった男の指先を見てみると、銀色に輝く針が刺さっていることに気が付いた。
「そんな事も知らないのですね、全く、これだから無知で野蛮な男は武士にもなれぬのです」
「っテメェッ!」
何度も使って刃こぼれでもしていそうな刀を椿にむかって振り下ろし、これは危ないと懐にあった短剣をだそうとするが椿は一向にそれを良しとしない様子だ。
どうするの、と見ていると一瞬風が吹き、気が付くと男たちは倒れていた。
「さん、もう大丈夫です」
「え、な、なに…?」
血を流してはいないらしいが意識を失っている男たちは起きてくる気配が全くしない。いったい椿は何者なのかというと
「ちょっと落ち着いたところでお話しいたします」
といってすぐに火を消し、キャリーバッグを抱え、その場を2人で後にした。