第11章 自立しないと。
「わぁっ!この方がさんの御友人ですか、私女中の椿、と申します」
丁寧に画面に頭を下げる椿。そもそも椿は何をしに来たのだろうか。忘れ物でもしてしまったのかとキャリーバッグを確認しようとする。
「私もご同行させてください、さんだけでは危険です」
『椿、さんだっけ、の事心配で来たの?』
「えぇ、信玄様や幸村様には無理言って屋敷を辞めてきました」
は危うく携帯を落としそうにしながらも驚いた様子を抑えきれなかった。
どうやらそれは薫も一緒のようだ。
「私の為に、かな」
「違います、私が勝手についてきたんです。」
椿は胸を張って言った。心配させないようにと自信満々に微笑んでいる。はなんとなく笑えて来て椿の肩を優しくぽんぽんと叩いた。
「ありがと、ほんと椿ちゃん最高ッ」
『…、いい友達持ったね』
「あ、あぁ、でも」
「さんは大事にしますっ」
『は?この子大丈夫?』
もうなんとも言えずは苦笑いしかできなかった。
言えない、椿がレズだなんて、とその問題は心の奥底にしまい込んでおくことにした。
「そうださん、これからどうするんですか?」
「まだ決めてないんだけど…」
『あっ、なら提案があるの!』
薫はうきうきしたような顔で興奮気味に口を開いた。
『奥州は外せないよね!』