第11章 自立しないと。
『ところで、親にはなんていったのよ』
「え?」
親の事なんて焦りすぎてすっかり忘れていた。
書置きを残していたかなんて覚えていないし、もし残していなかったのであれば薫が最初の方に言っていた約2か月の間どうしていたのだろうか。まさか探してくれていたなんてことはないだろうか。
『言っとくけどね、すっごい大きな事件になってるんだよ』
「はっ?!え、そ、それ本当?!」
『そうだぞ、突然消えた女子高校生誘拐か家出かって、テレビでも取り上げられるほどの大騒ぎだ』
どうやらここの時代と平成での時の流れは殆ど同じらしい。確かに画面から見える薫の服装は夏服に代わっているし、蝉の鳴き声も聞こえる。
話を聞けば、何の手がかりもなく忽然と姿を消した女子高生ということで両親はほぼ放心状態だというし、学校側も放課後になれば探していたし、警察も最初は100人体制で探し回っていたらしい。今は半分だというが。
は軽はずみでやってしまった事にものすごく反省した。
好奇心だったとはいえ、まさかできないだろうということをやってしまったし、しかもこちらからは連絡が取れない。
「…ごめんなさい、私…」
『ったくもう!いいよ、こっちはこっちで山内先生と今話を聞いてたクラスメイトでなんとかするよ。の両親にもちゃんにも話するし、一応もう一回電話かけてみるから』
「ご、ごめんっ本当にごめんッ」
迷惑ばっかり、と言おうとしたとき
「さああああんっ」
テレビ画面の向こうの薫ももは?というような顔をしてが振り返ってみると、着物の裾が土で汚れながらも気にせずこちらに向かって走ってくる人がいた。
『…誰?』
「えっと…お屋敷でお世話になってた女中さん」