第11章 自立しないと。
暫く息を落ち着かせていると薫は大丈夫?と声をかけてきた。
『、テレビ電話にしよっか』
「うん、薫の顔見たい」
電池は大丈夫かと気にしてみればまだ20%のままだった。これ以上減ることはないかと安心してそのままテレビ電話に切り替える。
「久しぶりっ薫!」
『ほんともうっ何処にいるのよぉっ』
薫の後ろには見慣れた教室が写っていた。担任の顔も、クラスメイトの顔も見える。久しぶりに見る電気の明るさには驚かされた。
「驚かないで聞いて、私ね」
『ま、まさか、本当に…』
「…うん、トリップできたんだ」
そういえば薫は目を見開いたまま固まっていた。後ろの人達は意味がよく分かっていないようで薫に説明を頼んでいた。冷静さを取り戻した薫は話をすると一瞬静寂が訪れ、一気にキーンというほどの声が聞こえた。
『で、今まで何処にいたの。軽く2か月くらいはいないわよ』
「武田で、お世話になってたんだけど…」
『けど?』
「……出てきちゃった」
『馬鹿ッ!』
薫は音割れがするほど大きな声で叫んだ。薫の周りの人達もひどく驚いたようでかおが強張っている。
『…なにがあったの?』
「私が、迷惑かけちゃって」
ぽつり、と語りだせばどんどんあふれてくるもので、は止まらなくなるほど自分の抱え込んでいた思いや気持ちをテレビ電話越しの薫にすべてぶつけた。
薫は黙ってうなずいていてくれた。