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オンナナレさせてみせますから

第10章 西海の鬼は悪鬼ですか?



は急いで部屋に戻り、着替えて化粧を施した。
同一人物だと悟られないようにしなければまたあの恐ろしい笑顔で話しかけられてしまうかもしれない。
一体元親が何を考えていいるのかさっぱりわからなかった。ゲームの中や夢小説の中ならいじりやすいキャラだったはずなのに、先程目の前でみたあの元親はそんな優しそうなお兄さんという感じではなかった。
立派な男、鬼、海賊。恐怖の塊でしかなかった。

「嘘だ、あれ、…お、おかしいな。もっと楽しそうな人だと思ったのに」

これも違うところなのだろうか。ならばもしかしたらこのバサラの世界は黒い性格をした武将であふれかえっているのかもしれない。初めてだった、帰りたいと心から願うのは。

「どうしよ、ねぇ、ど、どうすればいいの、怖い、震えとまんなっ」

「殿、失礼しますぞ」

ふと声が聞こえ顔を上げると幸村のシルエットが見えた。
どうぞ、と声をかけるとゆっくりと開かれ、幸村は辺りを見渡した後静かに部屋に入ってきた。妙に深刻そうな顔がを追い詰めるようだった。

「殿、長曾我部殿に何もされておりませぬか」

「え?」

「先程佐助から合図がありまして、長曾我部殿と殿が接触したと」

心配そうな顔をしているが何もないよと伝えれば安心したように深い息をついた。そんなに心配してくれていたのかとは少しだけ心が緩くなった気がした。

「長曾我部殿には早めに帰ってもらいまする、楽しそうな宝を見つけたと言っておりました」

「宝、ですか」

「恐らく殿の事かと」

冗談を言っているような顔ではなかったのでは笑うことも困り顔もできなかった。ただ焦燥感が心を侵食する。
このへんな感じは何だろうと幸村を見ればそわそわとしている。どうしたのかと聞けば幸村は恥ずかしそうにしながらも、バッとの目を見て言いきってくれた。

「殿をどんな輩からも守って見せまする、安心してくだされ!」

「…あ、ありが、と」

喉が渇いてしまい、目からは涙が出てしまい、声がちゃんと出てくれなかった。
きっと元親は悪役じゃないし、ただ旅に出さしてくれるだけなのだろうが、あの顔は優しい笑顔ではなかったのだ。
は涙をぬぐった。



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