第5章 ごたいめーん…
「ごめんねーさん」
「あ、いえ」
幸村はあのあと小山田が看病することになり、自室へと運ばれた。まわりの足軽達も苦笑いしていたり腹を抱えて大笑いしていた。
幸村の女苦手はどうやら定評があることらしい。
「妙に冷静だったけど、旦那が女苦手なのも知ってた?」
「はい、でもあんなに苦手だとは思ってはいませんでした。」
まさか立ったまま気絶するなんて…あれでは部下も笑うしかないだろう。
真っ赤な茹蛸になったのは、気絶した証拠らしい。
だがどうするのだろうか、あのまま女苦手を克服しないままにはいかないはずだ。いつかは娶り、ともに歩んでいかなくてはならないのに。
「なんでもしってる先人さんはわかるだろうけど、うちの大将武田信玄様にも会ってもらわないとダメなんだ」
「でしょうね」
ここにいる限り、主には会っておかないと礼儀のクソもない。
武田信玄、今は健在ではあるがいつか明智光秀に怪我を負わされ、病に倒れる。バサラの世界ではそうなっている。
だが幸村の極度な女苦手をみると多少は違うところもあるらしい。史実通りに行くか、作中に従っているのか。はたまた全く違う末路に行き着くのか。
これはにはわからない。
「大将の事はどこまで知ってるの?」
「越後の軍神上杉謙信と好敵手で、武田の騎馬隊と恐れられている騎馬隊を育成している人だとはわかっています。」
ふーん、と佐助は言ってその場から立ち去った。
突然人の家に一人ぼっちにさせられては不安だったが、何とも文句は言えずとりあえずこの場所を動かないことにした。
すると後ろからぱたぱたと走る音がして振り返ると椿が急いでこちらに来ていた。
「椿ちゃん、そんな慌ててどうしたの?」
「あぁっこちらにいらしたのですね!お館様が是非とも会ってお礼がしたいと…!」
気が付くと椿に化粧をされていた。
鏡に映る真っ白な肌の自分はまるでこの世界に溶け込んでいるように思えて何処かうれしい気がした。の後ろにいる椿もどこか嬉しそうだった。
小山田も合流し、ほめ言葉を受けながら信玄のもとへ行く。