第5章 ごたいめーん…
道中困ることもなくのんびりと歩いた。
佐助は出発したことを知らせるべく先に館のほうへ向かうと言ってと話した後すぐに出て行った。
のもとにそのあとすぐに椿がやってきて嬉しそうに着物を着せてくれた。そうやら椿は相当な世話焼きらしい。
「ごめんね椿ちゃん、迷惑ばっかりかけて」
「いえ!お気になさらずっ」
にこにこと眩しすぎる笑顔を向けてくる椿だったがそれを見ていた足軽がぞっとしたような顔でこちらを見ていた。なんだろうか、そう思ったが立派なお仕事中なので変に話しかけるのはよくないだろうと黙っていることにした。
「さて、殿、我らが主武田信玄様のいらっしゃる躑躅ヵ先館です」
そういって小山田は大きな門に向って帰還を知らせる合図を促した。
すると重そうな門が大きな音を立てて開き始めた。
「す、すご」
そうあっけにとられているとその様子を椿は真横でまた嬉しそうにうなずいていた。今では妹のように思える椿だ。
この環境に慣れるのもすぐかもしれないと少し嬉しくなった。
「ではこちらがお部屋です」
そう椿に案内されたのは現代でが使っていた部屋の広さよりも少し広いかというくらいの部屋だった。家具はほとんどなく、使っていなかったことがよくわかる。
「またお掃除に来るので、少々お待ちください」
「私も一緒にやるよ」
「え?!そ、そんな」
いいのいいの、と椿と一緒に道具を取りに行くことにした。お世話になりっぱなしは悪いし、なにより自分が使う部屋ぐらいは掃除しないと申し訳ない。
まだじめっとしていないうちから動いていないと遅い5月病にかかってしまう。