第5章 ごたいめーん…
翌朝、は朝日がのぼる頃に目が覚めて眠い目をこすりながら布団を綺麗に畳んで部屋の隅に寄せて置いた。
寝間着は寝相の悪い事に定評のあるなので、乱れまくっている。そもそもこんなにも来にくい着物なのに乱れやすいのは何でだとイライラしていたが、そういう性質のこれが悪いと吹っ切ることにした。
「いやぁ、さすがに日の出前は涼しいー」
「おはよーさん」
「うわ?!」
ふすまをスッと開けて日の出を拝もうとしたのだが、開けたのと同時に廊下にいた佐助と鉢会ってしまった。
「にしても洒落っ気もないわけ?未来人はそんな人たちばっかりなの?」
「私だけですよ、さすがに」
っつーか着物なんてきないし、という言葉は隠しておくことにした。言ってしまったら言い訳みたいになってしまうし、なんだか負けたような気がする。それは悔しい。
ぶすっとしていると佐助は急に口元を隠して笑いをこらえだした。
「…なんすか」
「いや、旦那とそっくりだなぁって…先人様は旦那の事もご存じなんでしょ?」
ムカつくような言い回しだが、これは恐らく説明を省きたいと目で訴えているようなので仕方なくうなずいておいた。
この佐助が言っている旦那、とは別に契りを交わした人ではなく仕えている人だ。名前はご存知の通り真田幸村。
史実の幸村はとても頭がよく知将として知られていたともいうが、バサラをプレイしたり見たことがある人はあまりそのイメージはないとかなんとか。実際も最初はそれを疑っていた。
「そろそろ出るけど準備できた?って小山田の兄さんが言ってたよ」
「えっもうそんな時間?」
まだ日も出始めていないのに出かけるのかぁとため息をつきそうになった。
半日かけてつくほどの距離だからと甘く見ていたが、どうやら朝早く出て半日ちょっとでつくということらしい。
まだ道のりは遠いという訳か。