第3章 これしかありませんよねわかります。
このまま何も言わずに時間が過ぎるのを待てば解放してくれるのだろうか。なんの情報も得られないということで切り捨てにされるのだろうか。
それとも誰かが助けに来てくれるのだろうか。いや、来たとしても佐助が殺さないという保証などどこにもない。
ならば力づくでこの腕を振りほどくべきか。だがは生憎そういった体術などは心得ていない。適当に暴れれば首にあたっているその冷たいモノが深く肉を抉り、この世界を楽しむことは二度とできないだろう。
「喋らないならこのまま潰すけど」
やれよ、やればいいとどこかではあきらめたようにいた。実際この世界に来れただけで十分だし、しかもバサラキャラの中でもかなり上位にいる佐助に殺されるなら本望だと思った。
「佐助!どこだ?!おい!今すぐに来い!!」
この耳に響くうるさい声は
「…、命拾いしたと思いな」
佐助の腕の中から解き放たれたかと思えばどこかへ風のごとく消えて行ってしまった。
一人取り残されたは何が起きているのか状況把握さえさせてもらえずに突っ立っていた。
「…いやその、おいて行かれても困る…。」
こうして幸村に会うこともできずに山を下っていく。
周りを見渡してみれば既に息絶えた足軽や、まだ呼吸をしているも助かるのは無理だろうと思われる歳を取った老人、それらに巻き込まれた何の罪もない馬。
静かになったことから戦は終わったのだろうと思われる。
「うわ、ひでぇ…」
またも女子らしからぬ口調で血だまりのできた道を静かに下っていく。