第18章 気持ちに嘘はつけません
必死に働かない思考回路をぐるぐると回し、何が起こっているか状況を整理しようとしていた。
織田が直接的に伊達軍の領地へ訪れ、こんな風に壊滅状態まで追い込んだ話などなかったはずだ。史実にもそんな話はなかった。ココの世界はやはりの知っているバサラの世界とは少しどころかだいぶ違うようだ。
「嘘でしょ、なんで…織田包囲網の話だって…」
「…なんか知ってるの?」
「っ?!」
後ろへ振り返るとそこには厳しい表情の佐助がいた。
「まさかとは思うけど、寝返ったわけじゃないよね」
「ねっ寝返るも何も」
「そうだよね、アンタは武田軍でも伊達軍でもない、ただの先人だもんね」
そういう意味じゃ、と口を開こうとするが、久々に感じた佐助からの拒絶の態度に怯み、行動を起こすことはできなかった。
「先人なら何か知ってるんじゃないの?その情報を織田に流したんじゃ」
「そんなことしてないッ!!」
「どうだか、その俺様に成りすましていたヤツに何か話したんじゃないの?」
「私はそんな事してない!」
そう言い張っても全く聞いてくれていない様子だ。先程から態度を全く変えてくれない。
所詮短期間で得ていた信頼だ。いや、もとから信頼など生まれていなかったのかもしれない。
「今ここで起こってることは私は知らない、私の知ってる話と全然違うの!」
「先人の知識をばらまいたからでしょ」
「私が信用した人にしか話してないって!」
佐助は何も言わず、溜息を吐いて何処かに行ってしまった。