第18章 気持ちに嘘はつけません
その頃佐助とは信玄のもとを訪れていた。
「、よく戻ったのう」
「…申し訳ありません、今更…でしたか」
「ずっと待っておったぞ」
頭を上げればそこには満面の笑みで胡坐をかいている信玄がいる。横を見れば、おかえり、とつぶやいてくれる佐助がいる。
迎え入れてくれるところがあるとはなんて幸せな事なんだろうとは感動して涙が出そうになった。
「それにしても帰ってくると文を寄越してくれれば宴の一つや二つ直ぐに用意できたのだが」
「え?」
信玄が顎をさすりながら言った言葉に疑問を抱いた。
佐助が帰ってくることを伝えていなかったのだろうか。
「で、でも私の所に佐助、来たじゃん、信玄様はいつでも帰って来いって言ってたよって」
「俺様そんなこと言ってないよ?」
佐助が嘘をついているようには思えなかった。
動揺して信玄の方を見るが、考え込んでいた。あの佐助は一体何者だったのか、だが信玄が帰ってきてもいいと言ったのは嘘ではないようなので深く探ろうか悩んでいるのか。
「…佐助、近頃織田が動いておるのはわかるな」
「えぇ、今は大きな動きはないですけど、そのうち動くのはわかりきってますよ」
「織田信長…、侮っておられんな」
は途端に話に追いついていけず首を傾げた。
「あれ、ちゃんは織田信長知らない?」
「第六天魔王、だよね」
「そう、知ってるなら話は早い。俺様達は今、織田包囲網を組もうと諸国と同盟を結ぼうと思ってる。」
「恐らくをこの地に戻したのも織田の手の者だろう」
何のために、と思っているとそこにあの赤い塊が飛び込んできた。