第17章 迎えに来たのは
「伝言?」
「っていってもそんなに大層なものじゃないから」
は何かしでかしたのではないかと思ってハラハラしていたが、その言葉を聞いてふぅ、と息をついた。
「いつでも武田に戻って来い、…大将はそう言ってた」
「信玄様が?」
「うん。少しでも武田にかかる負担を減らそうと思って出て行ったのだろうが、それほど変わらぬから気にするなってさ。」
の居場所は武田だ、と佐助はわざわざ伝えに来てくれたようだ。
それを横で聞いていた慶次は少し寂しそうな顔をして頷いていた。
「…このまま甲斐に行こう!」
「え?」
「ちゃんの居場所づくりの為に加賀に連れて行こうと思ってたんだけど…居場所が甲斐ならそこに連れて帰るべきだ」
慶次は送っていくよ、と言って馬を連れてこようとそちらへ行った。
そういえば椿は、と佐助に聞こうと振り返ると、もうそこには佐助はおらず足跡も何も跡形もなかった。
「……甲斐に、戻っていいのかな」
正直迷っていた。
戻ってきてもいいと受け入れ態勢を見せてくれたのはとてもうれしいのだが、わざわざそんな事を言いに来てくれるとはいったいどういう事なのだろうと。
それにしても佐助がいつになく饒舌だったという点が不可解だった。
「…騙されてるわけじゃないよね?」
変に疑っても何も始まらないので、とにかく甲斐にひとまず戻ると決めた。
慶次も馬を連れてきてくれて、急遽甲斐へ戻ることにした。