第17章 迎えに来たのは
「鬼の旦那の事だったら気にしなくても大丈夫だよ」
「…よく私の考えてることがわかったね」
「ちゃんは隠し事できない顔してるの知ってた?」
佐助は乾いた笑いを含んだ声でそう言った。
確かにここに来る前にも嘘を完璧につけたことはなかった気がする。最終的には全部ばれていたような。
「嘘がつけないっていうのは魅力だと思うよ」
「変に励まされてもなぁ…」
微妙な気持ちになったはそうだ、と畑の方へ行く。佐助もそれに付いてくるようで何も言わずに後ろを歩いていた。
いくつか野菜を抱えて佐助に渡す。
「これ、持って帰って?」
「育てたの?」
「ううん、なんかここからいなくなっちゃった農民の方々が置いて行ってくれたの。私はもうココ出ちゃうから。」
御裾分け、と佐助に無理矢理押し付けた。
暫くは戸惑っていたようだが、ちゃんと抱えて、ありがとう、と言ってくれた。
は慶次を起こしに行こうとその家の中に入ろうとした。すると中からを呼ぶ声が聞こえて慌てて中に入ると慶次はを探しているようだった。
「あっ何処行ってたのさ!」
「ご、ごめん、火のつけ方まだ分かんないから先に野菜採りに行ってたんだ」
「そういう事かぁ…びっくりした、で、お客さん?」
佐助はいつの間にかの横に立っており右手を上げて軽く挨拶をしていた。
「あ、ほら、武田の忍びの…」
「あぁ!で、その武田の忍びさんは何の用?」
思い出したように、あっと言うと伝言があるんだった、と言った。