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第16章 放浪も悪くない



「…?あれ、すっごい静かだな」

「皆畑仕事にでも行かれてるじゃ?」

「そうかなぁ」

妙に静かなその村には人っ子一人見られない。畑へ2人は向かうが、そこにも村人らしき人物はいなかった。
村へ戻り、一軒一軒まわってみるがそれでも女も子供も老人もいなかった。

「…なんでだろう」

考えてもにはわからなかった。なぜならこんな経験をしたことはなかったからだ。
横にいた慶次は笑顔を消し、ただ空っぽになってしまった村を見つめていた。

「……きっと、疲れたんだろ」

「疲れた…って、」

「ここでの暮らしだよ、年貢が大変だって笑いながらアイツは俺に話してくれた」

「違うところに行ったってこと、かな」

「……それか、」

慶次はそれ以上言葉を紡ごうとはしなかった。
悲しそうな慶次の顔からは読み取った。最悪の場合、きっとその命は何者かによって消されてしまったのだろう。

「でも、この村は傷ついてないみたいだね」

「アイツらは守ったんだ。生まれ育ったこの村を守ろうとしたんだ。」

その空っぽな村は、もうすでに村とは呼べなかった。
人が一人もいない、笑い声も鳴き声も何も聞こえなかった。これが戦国の世、邪魔なものはただ捌けられてしまう。
はその恐ろしさに吐き気をもよおした。




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