第16章 放浪も悪くない
「やー!馬って早いんだねっ」
「あれ?乗ったことない?」
「うん、乗ったことないな」
小さい頃に牧場に連れて行ってもらったことがあったが、その時馬の期限が偶然悪かったらしく、馬から落ちてしまったことがあった。それからは怖くて馬の近くにも近寄れなかったが、慶次の乗ってきた馬にはそういった恐怖感を持つことがなく触ることも乗ることもできた。
其の事を離せば慶次はケラケラ笑った。
「それは馬を怖がってたから気持ちが伝わったんじゃないかなぁ」
「馬にも人間の気持ちわかるの?」
「まぁ俺は馬じゃねぇから本当かはわからねぇけど、馬上を楽しいって思えてくるとコイツも気分のって早く走ってくれるんだ」
下をかまないように二人は少しずつ雑談を交えながら奥州を抜けていく。
「そろそろ休憩しようぜ」
「うん!ずんだずんだ!」
は嬉しそうにずんだが入った包みを抱えて近くの岩場に腰かけた。
目の前には大きな川が流れており、馬も水を飲んで休憩している。
「あとどれくらいでつく?」
「俺一人だったらまぁ…ちょいちょい休憩入れながらだから2日くらいかな」
「えっ、そ、そんな早く?!」
「甲斐からはどれくらいかけて奥州に来たんだい?」
「んとー…5日はかかった気が…」
「げっそんなに!?」
慶次はとても驚いた顔をしながらずんだをほおばった。