第16章 放浪も悪くない
翌日。
「っつーことでちゃんは連れていくぜ!」
「っしゃー!加賀行く!」
「お、おい、考え直そうぜ、ここからは遠いぜ」
政宗は焦ったようにそう言っているがは聞く耳を持たず慶次が乗ってきた馬に二人乗りする。
「大丈夫ですよ、慶次が守ってくれますし、ねー?」
「あったりまえだろ!心配すんなよ独眼竜!」
「、これを持っていけ」
小十郎が遅れて城から出てくると何か包みを抱えていた。それをに渡して満足そうに微笑んだ。
その包みからは何やらおいしそうなにおいがしているのに気が付き、馬上で堤を開けてみるとそこには
「ずんだっ?」
本場のずんだ餅!とはものすごく喜んで小十郎にお礼を言った。慶次と一緒に食べろということなのだろう。一人分とは思えないほどの量が入っていた。
慶次もお礼を言って政宗の寂しそうな視線を振り切り、二人城下の方へ行ってしまった。
「…おい、小十郎」
「なんでしょう」
「いつずんだなんて作った」
「昨晩作りました」
「俺も呼べよ」
「次からはそういたします」
政宗も小十郎も顔を見合わせて小さく微笑んだ。